勧学院客殿 一棟
勧学院は園城寺塔頭の一つであって、客殿は慶長五年(一六〇〇)の建立である。光浄院客殿(国宝)と外観はほとんど同じであるが、規模はやや大きく、内部は光浄院が二列の空からなるのに対して、こちらは三列からなっている。上段の突出部がなく、十二畳の一の間には正面に床をとり、その北隣の十畳に床及び付書院を設けているなどの相違があるが、広縁及び中門の存在、車寄部分の手法などはまったく同じである。光浄院客殿とともに桃山時代建築の遺構としてその意義はきわめて大きい。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)