工芸品 / 南北朝
春日の鹿御正体は影向御影の一種で、鹿島よりの影向説に因んでつくられたものである。絵画にはいろいろの作例があるが、金工品としてこれ程雄大なものは恐らく唯一の遺例であろう。鋳金技法上のむつかしい点を克服し、鹿や榊の複雑な姿態を巧みに表現し、仕上げも丁寧である。掛鏡に画かれた本地仏のうち中央の鹿島明神のそれは通例は釈迦であるが、これは印相からすると弥陀らしく見える。春日講の講中で礼拝されたものであると言われている。
絹本著色春日鹿曼荼羅図
熊野十二社権現御正体〈十三尊/〉
絹本著色春日明神影向図〈高階隆兼筆/〉
高階隆兼