小田茶臼塚古墳 おだちゃうすつかこふん

史跡 古墳

  • 福岡県
  • 朝倉市
  • 指定年月日:19790904
    管理団体名:
  • 史跡名勝天然記念物

S54-6-044小田茶臼塚古墳.txt: 九州北部、筑後平野には、特色ある古墳が営まれている。この平野の奥深く、筑後川の支流の左田川の右岸に営まれた前方後円墳が小田茶臼塚古墳である。この古墳は、前方部をほぼ北に向けて営まれていて、後円部に比し前方部が短くてくびれの強い墳形上の特色をもつ古墳である。墳丘の全長は約55メートル、後円部径は約40メートル、高さ5メートル、前方部長16メートル、最大幅25メートル、高さ3メートルで、周囲に幅4メートル、深さ0.6メートル程の周濠をめぐらす。後円部は3段築成で、最下段は地山を削出し、2段目以上は盛土で、葺石が認められる。前方部は2段築成であり、2段目には朝顔形を含む円筒埴輪列が検出された。またくびれ部上に墳丘主軸と直交して須恵器大甕や器台・〓(*1)等が置かれていた。後円部に築かれた主体部は西南方に開口した単室の横穴式石室で、壁面を偏平割石積としたものである。奥壁と平行に仕切り石があり、右側壁には1個だけ幾何学的な線刻文が施された大石がある。石室の規模は全長4.5メートル、玄室の長さは3.5メートル、幅2.2〜1.9メートル、玄室高は1.6メートルある。玄室は昭和3年の道路工事に伴い開口し、この際に横板鋲留短甲・衝角付冑・鉄矛・鉄刀・鏃・轡・〓(*2)具・4環鈴・滑石製品・碧玉管玉・ガラス丸玉等が出土した。またくびれ部の須恵器は九州でも古式の1群に属するものとみられるものである。
 本古墳は5世紀後葉に営まれたものとみられる前方後円墳として、低平で短い前方部を備えた墳形を示しており、石室や出土品にも特色があるものである。本古墳の西には帆立貝式の前方後円墳とみられる神蔵古墳があり、椿井大塚山古墳出土例と同範の舶載の三角縁神獣鏡が検出されている。茶臼塚古墳はその系統をうける地域的な首長墓と考えられるものである。

小田茶臼塚古墳

ページトップへ