S52-12-038珠城山古墳.txt: 奈良盆地の東縁に美しい姿を見せる三輪山の北、巻向山の別峰穴師山の支脈が西にのび、平坦地に接する丘陵端に3基の前方後円墳が営まれており、珠城山古墳群と呼ばれてきた。
第1号墳は東面する前方後円墳で、後円部南側に開口する横穴式石室を主体とし、墳丘は全長53メートル、後円部径20メートル、前方部長32メートル、前方部幅20メートルを測る。横穴式石室は、片袖式で、玄室の長さ3.4メートル、幅は奥壁で1.65メートル、高さは約2メートル。玄室の中央には主軸に合わせて凝灰岩製の組合式石棺が据えられている。棺内には遺骨の一部が残り、玻璃製小玉、琥珀製棗玉が、また棺外では、奥壁ぞいに須恵器・土師器、棺の東側には馬具・太刀が配置され、また棺の西側では甲冑のほか、見事な馬具が検出された。これらの副葬品はまことに豪華なものであり、石室内には埴輪片をみるなど、極めて優れた被葬者が考えられる。
第2号古墳は西向きの前方後円墳である。全長75メートル、前方部幅40メートル、後円部径40メートル、後円部は前方部より2メートルほど高く、本古墳群中最大の規模を誇る。埋葬施設は不明であるが、その墳形からすれば、3基中、最も早く営まれたものと推察される。
第2号古墳の西に所在した第3号の前方後円墳は、昭和33年の採土工事により消失してしまった。おそらく第2→第3→第1号古墳の順に築かれていった古墳群であり、箸墓や崇神・景行天皇陵など、顕著な前・中期古墳群の1系列として重要なものである。