春日大社の攝社である春日若宮社の例祭に奉納される各種の芸能である。
この奉納芸能は、日本の芸能の源流をさまざまに示すものであり、およそ次のようにとり行なわれる。十六日午後田楽【でんがく】・願主【がんしゆ】・流鏑馬【やぶさめ】一行の宵宮詣、田楽奉奏などがあり、若宮で神迎えの儀の後、道楽を奏しながらお旅所への渡御がある。十七日の午後、興福寺からの行列が影向【ようごう】の松の下に通りかかると、細男【せいのう】・田楽・猿楽などの芸能を勤める各組がそれぞれの芸能を松に対して奉るという松の下の渡りがある。また、夕刻から夜更けまで神前芝舞台で、東遊び、田楽、細男、舞楽、猿楽、倭舞【やまとまい】などが次々と演じられる。さらに明けて十八日になると、金春【こんばる】一座による後宴の能がある。
日本の芸能史を解明する内容を含んだ極めて多彩な芸能行事であり、非常に重要な価値を有している。