源氏香とは組香のひとつ。5種類の香を5包ずつ作った25包を混ぜ合わせ、5包を取り出し焚いて薫ずる。5包の香りを聞いた客は5本の縦線を引き、同じ香りと思うものの線の上部を横線でつなぐ。
この線の組み合わせによって生じる52パターンの呼び名を『源氏物語』五十四帖から採用したものが源氏香図。本作品は、源氏香図および各帖の内容に見合った絵が描かれた美しい画帖。全部で52パターンであるため、「桐壺」と「夢の浮橋」の二つは除かれる。『源氏物語』という憧れの呼び名を冠した源氏香の模様はその直線の美しさと優雅な感覚が好まれ、意匠に多く取り入れられた。