富本憲吉 1886-1963
白磁八角蓋付壼(はくじはっかくふたつきつぼ)
磁器
H.20.4, D.25.8cm 1932年
TOMIMOTO Kenkichi
Lidded octagonal pot, white porcelain
porcelain
富本憲吉は、明治44年、楽焼を学ぶことから焼物の世界に入ったが、大正4年には本焼の制作を行うようになった。それらはすべて陶器であったが、同7年には磁器制作を始め、11年頃にはそれを本格化させた。以降彼の制作を作風にそって分けると次のようになる
大和時代(大正2年〜昭和元年) 楽焼、染付、李朝風
東京時代(昭和元年〜21年) 白磁、染付、色絵、金銀彩
京都時代(昭和21年〜38年) 色絵、金銀彩、染付
富本は昭和10年代の中頃に九谷の北出家に逗留し、色絵磁器の技法を本格的に学んだ。それ以降、戦後にかけて、色絵金銀彩の大作を生み出すことになるのであるが、それまでの東京時代、最も神経を注ぎ制作に集中したの白磁作品であった。これはその代表的なものの一つで、蓋の形、面取りの形など、李朝風が濃厚だカ、左右対称の厳格な幾何学的形態、張りの強い胴部の形など、富本ならではの品格高い作品に仕上がっている。
1886年 奈良県生駒郡安堵村生まれ
1909年 東京美術学校図案科卒業
1910年 バーナード・リーチと出会い共に焼物制作を始める
1950年 京都市立美術大学(現、京都市立芸術大学)教授となる
1955年 重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定される