本図は天保五年(1834)三月の大瀧神社大瀧児(ちご)大権現)の祭礼を描いたもので、当地の石川氏により同社に奉納された絵馬である。
本図の構図は、向かって右上から上宮(奥の院)と「お下り」(神迎え)の図を、左から右下にかけて祭礼の際の賑やかな下宮の様子を、色彩豊かに、かつ精緻に描く。特に、天保十四年に落成した下宮(大瀧神社本殿及び拝殿<重要文化財>)の前身の社殿(流造り丹塗りの本殿と茅葺の拝殿)が確認できる点、また江戸時代の神仏習合のあり方を示す社殿前での法華八講式を描いている点など、歴史資料としても重要である。