石黒宗麿1893-1968
黒釉褐斑鳥文鉢(こくゆう かつはん とりもんはち)
陶器/轆轤(ろくろ)
h8.4, D33.5cm 1958年
ISHlGURO Munemaro
Bowl, bird pattern, black and brown glazes
pottery/wheeling
石黒宗麿は、独学で中国や朝鮮、そして日本の古陶磁の技法を研究し、気品あふれる独自の作風を確立した。とくに石黒は中国宋時代のやきものに傾倒し、鉄釉による優れた作品を数多く制作している。鉄釉は、別名天目(てんもく)釉とも呼ばれる、釉中に含まれた鉄分によって、黒色、茶色、黒褐色、柿色などに発色する。この作品では、黒色と柿色の二色の鉄釉を用い、蝋抜きの技法で鳥文をあらわしており、ツバメのような鳥の飛ぶ姿が、軽快なすばやいタッチで鉢の見込みに配されている。これは黒釉褐斑(こくゆうかつはん)あるいは鉄釉蝋抜と呼ばれる技法によるものである。全体に黒釉を施してから蝋で文様を描き、さらにその上から柿粕をのせる。すると、蝋で文様を描いた部分には柿釉が掛からずに、その下地の黒釉が文様となってあらわれるのである。
1893年 富山県射水郡作道村生まれ
1918年 曜変天目茶碗を見て感激し、陶芸家を志す
1927年 京都・蛇ヶ谷に転居、小山冨士夫と知り合う
1935年 京都・八瀬に転居
1955年 重要無形文化財「鉄釉陶器」保持者(人間国宝)に認定される