墨田河舟遊

絵画 日本画

  • 鏑木清方  (1878-1972)
  • カブラキ、キヨカタ
  • 大正3年 / 1914
  • 彩色・絹本・屏風6曲・1双
  • 各168.0×362.0
  • 左隻左下に落款、印章
  • 8回文展 元東京大正博覧会美術館 1914

4 鏑木清方(1878−1972) 墨田河舟遊 1914年
 東京生まれ。本名健一。父は文人條野採菊。1891年水野年方に入門、新聞・雑誌に多くの挿絵を手がける。1901年烏合会を結成し、本格的な近代美人画の制作に力を注ぎ《一葉女史の墓》などを出品する。16年松岡映丘、吉川霊華らと金鈴社を創設。27年《築地明石町》で帝国美術院賞を受賞。54年文化勲章受章。
 後年「卓上芸術」と称して小品を中心に制作した清方だが、本図は文展の出品作として六曲一双の大画面に挑んだ意欲作で、江戸時代後期、隅田川の舟遊びを楽しむ情景を描く。大名一家を乗せた屋形船は、女達によって華やかに人形舞の宴が開かれる船中と屋上の竹竿を操っている船頭達が対照的だ。向かって左手の屋根舟には旗本の若侍と歌妓が遊ぶ。波を切って進む猪牙舟や、遠くでは猿曳の乗る小船、網漁をする小船が見える。生涯を通じて江戸庶民の情緒豊かな生活をテーマとしていた清方だけに、細やかな風俗描写が観る者を楽しませる。

墨田河舟遊

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