元
堆黒は中国で「剔犀(てきさい)」とよばれる彫漆品の和名で、木胎に黒漆と朱漆の層を何層にも塗り重ね表面を黒漆塗りし、これに文様を彫刻した漆芸品である。その製作は宋時代にはじまり、明・清時代には大量に造られ、その遺品は多い。 本品は珍らしく9稜をもつ輪花の盆で、元末明初の作と思われる。面全体を引締めた屈輪文でうめつくし、厚い漆の層をするどく、深く彫り起した彫漆工芸の優品である。 なお、この彫り目には黒漆の層の間に朱漆の七層が認められる。
屈輪堆黒長方箱
屈輪文堆紫食籠・盆
花鳥堆朱盤