鎬造、庵棟、中鋒。身幅広く元先の幅差つき、重厚めで反深くつく。鍛は小板目肌よく約み、小沸厚く付いて米糠肌状となる。刃文は中直刃にところどころ小互の目がまじり、匂口冴える。帽子は小丸にやや深く入る。茎は生で、先入山形、鑢目はごく浅い勝手上がり。目釘孔1つ開く。指裏に刀工名を切る。忠広は、初代忠吉の子で寛永18年(1641)に近江大掾を受領した。受領前の銘はすべて「肥前国住藤原輝広」と刻むが、受領後は刀に「肥前國住近江大掾藤原忠広」、脇差に「近江大掾藤原忠広」とそれぞれ刻むのを通例としている。長命したこともあり、作刀数も多いことで知られるが、本品については姿・鍛ともに作行がよい。