根府川の寺山神社で7月中旬の土日に奉納される舞踊である。根府川は石材の産地で、石材運搬船に関わる仕事をする人達が多かった。こうしたことから、海や船、航海に関わりのある鹿島信仰が定着し、鹿島踊りも伝えられるようになったと考えられる。
踊り手は25人が定数で、「5行5列」が定型、「方舞」と「円舞」の組合せで舞う。この外に4人の警固役がつく。歌上げがつく場合もある。警固は紋付羽織で、青竹を持つ。麻カミシモのところもある。踊り手は、白丁(白木綿で作った狩衣)平札烏帽子をつけ、白足袋、白緒の草履を履く。踊りの内、太鼓1人、鉦(しょう)2人、黄金柄杓1人、日形1人、月形1人の外の者は左手に幣束(へいそく)、右手に扇を持つ。楽器は太鼓と鉦だけで、太鼓役は常に踊りの中心にいてこの踊りの主役である。黄金柄杓の中にはヨネとよばれる5色の細かい色紙を入れ、棒を振ればはらはらと落ちる。昔はこの中に藁を入れたとのことである。踊りには全て歌がつく。