三浦半島野比海岸に面した丘陵に位置する白髭神社には、強い海風をまともに受けて樹高や樹形が著しく変形したスダジイを主とする自然林が社叢林として残されている。海岸線沿いに走る道路からは、社叢林がある社殿裏山全体を望むことができる。長い間の強い潮風によって、上部を切り取られたような樹冠を呈した樹木が、きわめて印象的に目に入る。社叢林の高さは風衝作用によって低くおさえられ、約10mであるが、種組成は典型的なスダジイ林(ヤブコウジ―スダジイ群集)である。スダジイ、ヤブツバキ、シロダモ、ヤブニッケイ、カクレミノ、イヌビワ、シュロなどが高密度で出現し、矯生化して生育している。その他に社殿前庭には、イチョウ、エノキ、ヤマモモなどが生育している。土壌の浅い海岸線沿いの丘陵地に、厳しい立地条件と対応して成立するスダジイ林の典型といえる。