蟠螭文鏡 バンチモンキョウ

考古資料

  • 秦時代・紀元前3世紀~紀元前2世紀
  • 径24.5cm
  • 1面

菱形渦文の細地文の上に、体躯や四肢が細長い帯状になった3匹の龍が複雑に連鎖した蟠ち文を3単位、環繞式に表された古い型式と、双線化した新しい型式があるが、本例はそのうち、古い型式に属する。周縁は無文で、幅の広い匕面を成しており、上端の面は極めて狭い。周縁の内側には、斜線文の狭い文様帯が、蟠ち文の主紋様との間に設けられている。鈕は比較的大きい三弦鈕で、鈕座は内から、研磨しない無文部、蟠ち文の主紋様部の地文と同じ菱形渦文帯、以上の圏帯で飾られている。本例の主紋様の蟠ち文は、表現が極めて精緻で緊張感があり、戦国鏡の系列の中では比較的累計の多いこの鏡式の中でも、特に優れた作例である。また、直径も24.5cmとこの鏡式では最大の類であり、保存状態も良好で、美術的にも非常に優れた例といえよう。古い型式に属する蟠ち文は紀元前217年に埋葬されたと考えられる湖北省雲夢睡虎地11号墓で出土しているので、本例も秦から前漢初頭にかけて製作されたと考えられる。

蟠螭文鏡

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