菅生神社(宮前区菅生)の10月最初の日曜日の例祭に披露される一人立ち三頭獅子舞である。始まった時期は明らかでないものの、江戸時代初期の製作とされる獅子頭があり、少なくともその頃には既に行なわれていたと考えられる。そのため、一人立獅子舞としては初期の頃のものということになる。
初山の獅子舞は天狗面の者に先導され、町内を練り歩き、祭場へ練り込む。舞は拝殿の前庭に設けられた円形土俵を舞場として行なわれる。最初に幣負い(天狗面)の土俵清めがあり、続いて金棒引き、幣負いが先頭に立ち獅子を先導する形で舞場に入る。途中は道行の笛を吹き、岡崎・入端・渡り笛・変り笛等の様々な囃子で舞う。後半で舞う雌獅子隠しは、獅子舞の見せ場である。初山の獅子舞は地を這うように舞うのが特色だが、地の悪霊を鎮めるという意味があると考えられる。
舞の途中で中入があり、舞人が中休みをする。この時に食事をするのが一般的である。中入の時、天狗面をつけた者が道化たことをする。初山の古い獅子頭にウソフキ型の面(道化面の系統)がついているのは道化芸があったことを示す。現在は仲立役が道化芸を担当しているが、ウソフキ面ではなく天狗面を被る。