根周り12.25m、幹周り10m、樹高30mにおよぶ大木である。樹形は主幹が地上約6mの高さで3本の巨枝を張り出し、枝張りが30m四方に広がっている。一部は風により損傷を受けているものの、樹形は整っている。一般に古くなると空洞ができるが、鶴巻のケヤキは空洞もなく樹皮の傷みも少ない。また枝には大きなヤドリギがいくつか寄生している。
秦野市東部の台地上はシラカシ、ケヤキなどの屋敷林がところどころに残されている地域である。かつては自然林としてシラカシ林がこの地域から神奈川県東部、北部にわたって生育していたものと考えられる。台地、丘陵地は比較的耕作地、住宅地として利用されやすいため、斜面を残し、農耕地として利用されてきた。昔から住んできた人々は、生活の知恵によって北風などに対する防風林として、家のまわりや斜面にその土地の森林を残し、あるいは復元してきた。鶴巻の大欅はその中でも、比較的土壌が厚く堆積した生長に適した場所に植栽されたか、あるいはシラカシ林の構成種の一種としてケヤキのみが残されたものと考えられる。