122 村井正誠(1905−1999) CITE 1938年
岐阜県生まれ。文化学院に学ぶ。1927年二科展初入選。28−32年渡欧。34年新時代洋画展結成。37年自由美術家協会を結成し、抽象絵画のパイオニアのひとりとして活躍。50年モダンアート協会結成。62年第5回現代日本美術展で最優秀賞受賞。また文化学院、武蔵野美術大学などで教鞭をとる。
この作品は、シテ(フランス語で「都市」)という題名が示す通り、中国・内蒙古の都市、百霊廟を撮影した航空写真をヒントにして描かれた連作のひとつであることが明らかにされている。航空写真という当時の新しい技術がもたらした新しい視覚が活かされているという点も興味深いが、しかし航空写真はあくまで制作のヒントにすぎない。道路や集落は赤、黄、青、緑などの色彩の帯や小さな色面に還元され、リズミカルに構成されている。それにより、この作品は都市の再現描写をこえて、ひとつの自立した絵画世界を生み出しているのである。