木造大日如来坐像〈運慶作/〉 もくぞうだいにちにょらいざぞう

彫刻 / 平安

  • 運慶
  • 平安 / 1176
  • 1躯
  • 重文指定年月日:19200415
    国宝指定年月日:19930610
    登録年月日:
  • 円成寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 本像は大正九年に旧国宝に指定され、運慶の現存する最初の遺作として既に著名な作品である。
 智拳印を結ぶ金剛界大日如来像で、檜材の寄木造、玉眼嵌入、漆箔仕上げになる。頭体幹部は正中矧【はぎ】、内刳【うちぐり】の上、割首【わりくび】とし、両足部横一材、両大腿部奥各一材を矧付け、両腕は肩、上膊半ば、臂、手首で各矧ぐ。髻、裳先(現状亡失)、耳にかかる鬢【びん】髪および肩上にかかる垂髪を別材製とし、また条帛は肉身部の上から数材を貼付けて彫成していることがエックス線透過写真によって判る。像内は肉を厚く残して表面を平滑に浚【さら】い、腰より上は墨塗、腰以下は黒漆塗とする。銅製装身具をつけるが、宝冠および瓔珞【ようらく】の一部が後補となる。光背の二重円相部と光脚、台座蓮肉および蓮弁の過半は造像当初のものである。
 台座蓮肉天板の内刳面に「運慶承 安元元年十一月廿四日始之/(中略)/奉渡安元貳〓〈丙/申〉十月十九日/大佛師康慶/實弟子運慶/(花押)」という墨書があり、運慶が父である康慶の指導のもとに約一一か月かけて製作したことが判る。若年の作ながら、その彫技はすでにほぼ完璧の域に達し、みずみずしい像容がみごとに表されている。鎌倉彫刻の成立において、画期的な意義をもつ作品として評価される(挿図写真は口絵参照)。

木造大日如来坐像〈運慶作/〉

ページトップへ