もたれて立つ人

油彩画 

萬鉄五郎 (1885-1927)
ヨロズ、テツゴロウ
大正6年/1917
油彩・キャンバス・額・1面
162.5×112.5
右下に署名、年記
4回二科展 竹之台陳列館 1917

11
もたれて立つ人
Leaning Woman
1917年
油彩・麻布 162.5×112.5㎝
萬は、《裸体美人》を起点に、フォーヴィスム、表現主義、さらには未来派をも想起させる作品を描き、奔流のように押し寄せる西欧近代美術に対して鋭敏な反応を示していた。しかし、1914年自己の解放と自由を内に求めるように、郷里である岩手県土沢へもどった。その後の土沢時代では、孤絶した状況にあって、自らのうちにもう一つの律しきれない自我の相貌を凝視するかのように、自画像の連作が描かれている。それらでは、かつての原色による色彩表現から褐色を主調にしたモノクロームに近い色調へと一変し、また鋭い筆致による形態の解体が試みられている。その表現は、どのような作品から触発されたかは今日のところ分明ではないが、やがてキュビスムに対する模索へと発展していった。この作品は、そうしたキュビスム的な造形思考を重ねた結果の一つの成果といってよく、同時にキュビスムの論理的な絵画思潮が根づくことのなかった日本の近代絵画のなかで、最も早い作例の一つといえる。ただし、キュビスム的傾向を示す同時期の作品は、表現のうえで振幅が見られ、つねに背後には表現主義的な原初的カオスを秘めている。それゆえにこの作品でも、独自のキュビスム理解が見られる一方で、頭部のみに緑色を加え、朱色と褐色を基調にした暗鬱な色調と、上半身が誇張され肩や腰を急激に屈曲させた主観性の強い形態の分割に、まぎれもない萬の姿を見ることができる。

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