當麻寺西塔 一基
西塔は建立年代が明らかでないが、平安時代前期の建立と考えられる様式をもっている。その後建保七年(一二―九)、慶長十八年(一六一三)、正保三年(一六四六)、明和四年(一七六七)そのほかに大小の修理が加えられた。各重とも柱間三間の三重塔であり、中の間に板扉を開く。組物は典型的な三手先をなす。初重内部では心柱に覆板を張り、仏像などの彩色画を描いている。東西両塔とも相輪の宝輪が八個である。これは日本の塔では珍しい例である。心柱の頂上には舎利壺そのほかを奉納している。古代三重塔の二基完存するものとして東塔(国宝)とともに貴重である。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)