工芸品 / 平安
- 京都府
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平安
- 竜頭は鬣を高くそびえ立たせ、写実味に富んだ雄偉な相貌を現し、笠形はやや高めで圏條をもって内外に分かち、内区はやや盛り上がり、外区は刳りをつけている。胴はやや裾広く豊かな張りを見せる。上帯以下は乳の間を除く全てに装飾文を鋳出す。上帯には、竜と鳳凰を口語に配した唐草文を、下帯には上帯と異なる宝相華唐草を廻らし、中帯は太紐の上下にやや細めの唐草文を配している。池の間には、各区一体づつの飛天を薄肉で鋳出し、四体のうち二体は一茎の蓮華を、他は華盤を捧げて、いづれも向かって右方に引こうする様を一区おきに交互に配す。縦帯は、四区を各二行に分かち、各行とも上半は上下に各一羽の鳳凰を置き、その中間上下に奏楽歌舞の天人を配する。これを唐草を用いて巧に連続させる。下半は各一躯ずつ奏楽の天人を配した唐草文を現している。乳の間は、左右および下方に二条の紐をめぐらして内郭を造り、これに上部半球形、下部喇叭形の大形な乳を各区四段七列据える。
撞座は八葉複弁の豊麗なもので、比較的高い位置に据えられる。
- 高199.1 口径123.6 (㎝)
- 1口
- 京都国立博物館 京都府京都市東山区茶屋町527
- 重文指定年月日:19140417
国宝指定年月日:19520329
登録年月日:
- 平等院
- 国宝・重要文化財(美術品)
無銘であるが、平等院草創頃の作とみられる鐘で、和鐘中類を見ない華麗な装飾文を有することから、古来著名である。また、遺品が少ない平安時代中期の梵鐘の一例としても貴重である。
鐘全体を飾る飛天や獅子などの文様は朝鮮鐘に学び醇化したものと見られる。