工芸品 / 鎌倉
鋳銅。肩よりゆるい曲線が広がり、中帯上辺より垂直に下る。竜頭は火焔宝珠、珠文帯付の宝珠を頂き、左右双頭が下面して笠形の上面を噛む。上帯は連続飛雲文、下帯は唐草文を鋳出し、乳の間には乳を設けず、各区に蓮台上の円相内に種子で胎蔵界四仏を鋳出す。池の間一区に銘文を刻している。 関東では鎌倉時代になると漸く梵鐘があらわれ、地元の鋳物師の名作も少なくない。大工広階重永もその一人で、その住地は上総国刑部郡である。竜頭の作行は俊勁で、総体に鎌倉時代の特色が強く、乳の間の特異な文様など製作も優れている。
梵鐘