板絵著色伝帝釈天曼荼羅図(金堂来迎壁)

絵画 / 平安

  • 平安
  • 1面
  • 重文指定年月日:
    国宝指定年月日:19790606
    登録年月日:
  • 室生寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 室生寺の創建は、奈良時代末期から平安時代初期の八世紀後半に置かれ、金堂は寺号が竜王寺と定められる貞観【じようがん】九年(八六七)頃を中心とする平安時代前期と考えられている。
 壁画は、現在、金堂内須弥壇【しゆみだん】の板壁三間の中の間に取付けられているが、当初よりこの位置にあったかどうか明らかでない。主題は中尊が独鈷杵【どつこしよ】を持つ天部形【てんぶぎよう】であるところから帝釈天【たいしやくてん】と推定され、本図を帝釈天曼荼羅と称すべきとも思われるが、また室生寺がもともと室生竜穴神【むろうりゆうけつじん】の神宮寺【じんぐうじ】であったことから竜王曼荼羅【りゆうおうまんだら】あるいは請雨経曼荼羅【しよううぎようまんだら】の一種とする説も行われている。
 絵の描写は一種古朴な線描や彩色により、ことに面貌の特異な表現は、同寺金堂本尊光背諸仏【ほんぞんこうはいしよぶつ】より古様を伝えている点、平安時代前期九世紀を下らぬ頃に制作されたと思われる。
 いずれにせよ、平安時代前期の稀少な壁画遺品として絵画史上の価値は甚だ高い。

板絵著色伝帝釈天曼荼羅図(金堂来迎壁)

ページトップへ