本像は、建仁三年(一二〇三)快慶【かいけい】作の京都・醍醐寺【だいごじ】不動明王像(重文)と法量、像容共にほぼ等しく、頭体根幹部を檜の一材から木取りし、前後に割矧ぎ、更に体部のみ背板風に板材を当て、割首【わりくび】として玉眼を嵌入する構造や丁寧な内刳りも同巧である。しかし、本像のふっくらとして弾むような肉取りは彼に較べて若々しく、衣文はより変化に富み、しかも太く働きがあるなど、作風には若干の相違が認められる。ちなみに、光背と台座は寛正三年(一四六二)の補作であるが、古記録によって記したという台座修造銘には、快慶の作とある。