木造阿弥陀如来立像 もくぞうあみだにょらいりゅうぞう

彫刻 / 鎌倉

  • 鎌倉
  • 1躯
  • 重文指定年月日:19850606
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 新光明寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 新光明寺の本尊である。鎌倉時代には浄土信仰の拡がりとともに来迎の印を表し左足を踏み出して立つ阿弥陀如来の三尺像が数多く造立されたが、本像は快慶風の阿弥陀如来像の大小二群に分かれる例の大きいほうに属し、両手の第一・三指を捻ずる形は快慶作品の中に京都・遣迎院の阿弥陀如来像(重文)一例が知られている。頭躰の主要部は、檜の一材を前後に割矧ぎ、背面の襟以下に一材を矧ぎ足し、内刳りのうえ玉眼を嵌入し、頭部のほか裳裾の部分を割離す構造である。像内胸部には木造五輪塔が納められ、快慶様式の作例にしばしば見られるように、厚く刳り残した頭部前半材の玉眼を入れるため彫り込んだ部分を、水平に当てた角材で塞いでいることが、X線透視撮影によって確認されている。
 目鼻立ちが大きく頬の高く盛り上がった若々しい面貌、幅広く厚みのある肩をゆったりと反らせた姿態、紐で吊る袈裟の一端を左前膊の外側に長く垂れる着衣の形式と襞の深い彫りくちなど、像容は快慶の初期の傑作に数えられる奈良・西方寺の阿弥陀如来像(重文)にきわめて近いが、肉付けや褶襞は整理され、さらに豊かな量感と明快な線を生かした独自の力強い表現を創り出している。いわゆる安阿弥様の作例の中でも、早い時期における出色の優品として高く評価されよう。当初の光背と台座が失われ、右手の第二~五指、両足先、表面の漆箔なども後補のものに替わっている。

木造阿弥陀如来立像

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