杉阿弥陀堂 木造毘沙門天立像 すぎあみだどう もくぞうびしゃもんてんりゅうぞう

彫刻 木像 / 平安

  • 福島県
  • 鎌倉
  • 本体は檜材で、寄木造、彫眼である。基本的な構造は、頭部は前後に二材を矧ぎ、後頭部に一材を矧ぎ足し、襟の線で体躯に挿し込む。体躯は体側を通る線で前後二層とし、前方は正中で左右に二材を矧ぎ、後方は一材とし、前後材の間にマチ材をはさむ。両腕はそれぞれ肩から袖先をも含んで手首まで一材で彫出し、各肩先に矧ぐ。両手首先、両沓先をそれぞれ矧ぎ、その他細部に小材を矧ぎ足す。現状では素地をあらわす。
  • 像高91.0cm
  • 一躯
  • 福島県南相馬市鹿島区江垂字天神沢15番地
  • 福島県指定
    指定年月日:20180406
  • 江垂行政区
  • 有形文化財(美術工芸品)

阿弥陀如来坐像の脚部裏の墨書銘に阿弥陀如来とともに「毘沙門天王像」とあり、相馬貞胤により延宝4年(1676)に修復されたことが記されている。この像が阿弥陀如来像とともに伝来したことが知られる。腰をやや左に捻り、右足を少し踏み出した体の動きはおとなしく、古様な造形がうかがえる。しかし筋肉の盛り上がった顔貌表現は彫り込みが深く、写実的で力強い。古様をとどめた鎌倉時代の造立と考えられるのである。檜という材質や細かく材を寄せる技法、写実性のある造形などから、当地方で造立されたものとは考えにくく、この像も阿弥陀如来像とともに京都などからもたらされたものであろう。この地方では、類例の少ない貴重な遺品である。

杉阿弥陀堂 木造毘沙門天立像

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