金銅宝塔 こんどうほうとう

工芸品 / 南北朝

  • 南北朝時代
  • 二重基壇の上下・塔身・廻縁および高欄・上層組物・屋蓋および相輪の五部からなり、総体金銅製、一部鍍銀を施した宝塔である。
     下成基壇は四方側面上下框の要所に宝相華文高肉透彫八双金具を付し、各面を束で三間に分かち、各間の羽目に格狭間を設け高肉彫孔雀文金具を鋲留めする。羽目および格狭間の鏡板は鍍銀とする。下成基壇の上面は鍍銀し、魚子地に蓮華唐草文を線刻している。
     上成基壇は四方側面上下框の要所に宝相華文高肉透彫八双金具を付し、各面を束で三間に分かち、左右間の羽根に高肉彫獅子文金具を鋲留めする。羽目の鏡板は鍍銀とする。各側面中央には階を設け、上縁に高欄を廻らせる。上成基壇の上面は鍍銀し石畳文を作り、具の目に魚子地とし、上面中央には蓮華文を線刻した金銅製円盤を鋲留めしている。
     塔身は円筒形で、下層四方に両開扉を設ける。各扉表は魚子地に蓮華唐草文を線刻して懸金具を付し、扉裏はそれぞれ、魚子地に天部形を一躰ずつ線刻する。塔身上層は腰廻りに平三斗組物を作り、廻縁と高欄を廻らせ、長押上に四手先組物を組む。
     屋蓋は方形、本瓦葺様で、四方降棟稚児棟、四方棟先に蓮華座に乗る宝珠を据え、四隅軒先に風鐸を垂らす。屋蓋中央には相輪を立て、四方に風鐸を付した宝鎖を垂らしている。
  • 総高62.7 基壇方35.5 基壇高5.7 塔身径14.3 
    屋蓋軒幅23.0 屋蓋高31.8 (㎝)
  • 1基
  • 重文指定年月日:19970630
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 実相院
  • 国宝・重要文化財(美術品)

もとは塔身内部に舎利容器を納置していたと考えられる宝塔で、塔身の四方扉表に線刻された天部形は、その像容や持物から、この舎利を守護する八方天(東方帝釈天【たいしやくてん】・東南方火天【かてん】・南方焔魔天【えんまてん】・西南方羅刹天【らせつてん】・西方水天【すいてん】・西北方風天【ふうてん】・北方毘沙門天【びしゃもんてん】・東北方伊舎那天【いしゃなてん】)と認められる。
 総体は細身で均整のとれた端整な形姿にまとまるとともに、組物や高欄、要所に付された金具類の細工や、基壇上面、扉表裏の線刻など、細部の金工技術も優れている。屋蓋の軒の大部分を欠いてはいるが、製作当初のうぶな状態を概ね良好に伝えており、南北朝時代の金銅宝塔の優品として貴重である。

金銅宝塔

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