金銅装宝篋印塔(軸部相輪等を欠く)
こんどうそうほうきょういんとう
工芸品 / 鎌倉
- 神奈川県
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鎌倉 / 1297
- 宝篋印塔形の舎利塔で、基壇と座盤1枚及び屋蓋の四層を存し、他は身、屋蓋の三層、相輪が欠失したものと思われる。
基壇:木心総金銅板貼で上下框の間を隅柱と束で三間に分かち、各間に格狭間をつくる。格狭間には覆輪を施し、相向かう孔雀一対づつを鋲止めし、上下框は魚子地蓮華唐草の隅金具、八双金具を打つ。甲板表に墨書と駒曳猿、人面、一頭三身魚、兎、馬、猿などの落書きが一面にある。
座板:木心金銅板貼、四面に魚子地蓮唐草線彫を施し、木板上四方に柱穴を穿つ。板裏に文字落書きあり。
蓋框(1):木心金銅板装。四隅に隅軒飾の金具を打った釘穴三個があり、廻縁には魚子地蓮唐草文を線刻する。縁四面には宝篋印陀羅尼梵文を刻す。
(2):廻縁には魚子地蓮唐草文を線刻する。縁四面には宝篋印陀羅尼梵文を刻す。
(3):宝篋印陀羅尼を刻す。
(4):四面に魚子地唐草文線刻を施すが、装着の金銅飯給は後補。
(1)の上下格二段と(4)、(4)の上の一段を書いていることが梵字から分かる。
- 基壇 方43.6 高10.5
座板 方35.7 高3.9
蓋框(1) 方42.0 高3.8
(2) 方28.9 高3.5
(3) 方22.3 高3.4
(4) 方16.0 高3.0 (㎝)
- 1基
- 神奈川県立金沢文庫 神奈川県横浜市金沢区金沢町142
- 重文指定年月日:19600609
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 称名寺
- 国宝・重要文化財(美術品)
舎利進行の盛行した鎌倉時代の舎利塔の中でも、他に例を見ない遺品である。基壇の格狭間の意匠、梵字唐草の彫技など、精妙を極め、時代の特徴をよく示している。框座の墨書銘文は特に貴重であり、永仁四年十二月の鎌倉大火のことを記し、その作者、慶暦なども記してある。作者の藤原秀吉は、称名寺愛染明王彫金像の作者として古来著名である。