金銅千躰阿弥陀懸仏
こんどうせんたいあみだかけぼとけ
工芸品 / 鎌倉
- 奈良県
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鎌倉
- 方形の一枚板に金銅板を貼り、額縁、隅金具を打ち、表面下方中央に框座を造って三尊像を安置している。金銅板は横板四枚を鋲止めし、各板ごとに六段五十列ずつの阿弥陀像を線刻し、地は魚子地としている。四周金銅額縁の左右には別記銘文を、上下には宝相華唐草文を刻す。隅金具同文。鏡板上方二カ所に笄金物付吊鐶を打ち、地板背面は黒漆塗りとしている。下部中央框座は、金銅板金造りで三間に区切り、格狭間をつくっておのおのに対向孔雀文を線刻し、上下框には八双金具を打つ。側面は半間の格狭間とする。
中尊阿弥陀如来立像は、蓮華座とも一鋳で、別鋳の左手首、右腕は欠失。光背は頭光、身光に唐草火焔透彫の挙身光背を具えているが上部欠失。脇侍千手、地蔵とも中尊とほぼ同様な造りになるが、地蔵の左手首と両像の光背上部が欠失している。
- 鏡板縦・横61.2 (㎝)
- 1面
- 奈良国立博物館 奈良県奈良市登大路町50
- 重文指定年月日:19600609
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 公益財団法人細見美術財団
- 国宝・重要文化財(美術品)
類例の少ない方形の懸仏で、一部欠失部があるが、作技精緻な優作である。銘文中の「應治」は私号で干支だけでは年を断定できないが、様式や技法から推して、嘉禄元年か弘安八年に比定できよう。