往生要集〈上中下/〉 おうじょうようしゅう

歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 平安

  • 平安 / 1171
  • 3帖
  • 重文指定年月日:19890612
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 青蓮院
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 源信撰の『往生要集』の平安時代後期承安元年(一一七一)写本である。
 三帖からなり、体裁は粘葉装、巻中、巻下には茶地の原表紙を存している。料紙は斐交り楮紙に押界を施して用い、各帖とも「往生要集巻上盡第四門半」の如く首題があり、「天台首楞嚴院沙門源信撰」と撰者名が別筆で加えられている。本文は半葉七行、一行一七~二〇字に全帖一筆に端正に書写し、各帖首尾を完存している。文中には全帖にわたって本文と同筆の墨仮名が付されるほか、まま後筆の墨書書入れ、校異等がある。下帖の末には「永観二年」云々その源信撰述記に次いで、延久二年(一〇七〇)四月十日の加点本奥書、さらに承安元年(一一七一)十二月十一日の沙門弘恵書写奥書があって書写年時を明らかにしている。この青蓮院本は、『往生要集』の完存本としては前期最明寺本に次ぐが、書写年時の明らかにするものとしては最古の完本であり、『往生要集』研究上に貴重である。
 なお、書写奥書にみえる弘恵については詳らかでないが、各帖とも末に伝領者として英弘、十達の名がみえ、巻中の見返には「南都勧修坊」と墨書があり、英弘は興福寺の聖教中にもその名が見える鎌倉時代前期の僧で、本帖がもとは南都に伝わったことを明らかにしている。各帖に慶安三年(一六五〇)の尊純の感得記があるので、その頃に青蓮院に入ったものと考えられる。

往生要集〈上中下/〉

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