往生要集〈中/〉 おうじょうようしゅう

歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 平安

  • 平安 / 996
  • 1帖
  • 重文指定年月日:19890612
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 聖徳寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 源信撰の『往生要集』の平安時代中期長徳二年(九九六)の書写になる本で、巻中の一帖のみを存している。
 体裁は粘葉装、現状は後補の緞子の表紙を装しているが、本文料紙と共紙の原表紙を存し、その中央に「往生要集〈中/〉」と後筆の墨書外題がある。料紙は斐交り楮紙に押界を施して用い、首題は「往生要集巻中盡第六別時念佛門」とあり、その右下の表紙見返部分に「〈二本/〉天台首楞嚴院沙門源信撰」と撰者名が別筆で書き加えられている。本文は見開き面で半葉八行書き、糊付面は一行分を糊代として半葉七行書きで、一行一四~一六字に通帖一筆に書写しているが、現状では帖中に十丁分の落丁がある。文中、帖末の余白に至るまで墨書の脱文補入、注記、校異等の書入れが多数あり、また全文にわたって朱の仮名、ヲコト点(第五群点)、墨の仮名が付されている。このうち朱の訓読点は本文の書写と同時期のものと認められ、そのヲコト点から比叡山の僧侶の手になるものと考えられる。帖末には尾題に次いで「長徳二年七月廿六日寫了、長胤」と書写奥書があって書写年時を明らかにしている。長胤については詳らかでないが、長徳二年(九九六)は寛和元年(九八五)の『往生要集』撰述の一一年後にあたり、源信在世中(九四二-一〇一七)の写本として注目される。
 なお、本帖は原表紙と帖首に「法隆寺聖霊院」の朱方印が捺されており、もと法隆寺に伝来したもので、表紙に「顕実」「顕真」と伝領墨書があり、この顕真は『聖徳太子伝私記』の著者顕真と同一人物の可能性がある。

往生要集〈中/〉

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