興福寺五重塔 一基
天平二年(七三〇)光明皇后の御願によって創建された塔で、のち数度の火災があり、現在の塔は応永十八年(一四一一)の火災後、同二十八年(一四二六)に心柱を立て、同三十三年(一四二六)に上棟されたものである。
各重とも方三間、組物は三手先の五重塔で、内部においては心柱を初重まで通している。各部とも純粋な和様からなり木割は太く堂々としており、総高五〇メートル余で、現存遺構中教王護国寺五重塔(国宝)に次いで第二の高さをもつ五重塔である。当寺東金堂(国宝)ととも室町時代における純和様の代表的な例である。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)