工芸品 / 平安
- 奈良県
-
平安 / 917
- 竜頭は低平で、笠形は盛り少なく、鐘身にはやや膨らみがあって形姿の比例は完好である。特に竜頭は広く強く張り、幅厚く、瞋目、怒張、大きく開口して笠形を噛む状態を写実的に造り出し、双頭を連ねる。頸部八葉の蓮華座上に置いた宝珠の四方に透彫りの火焔を鋳出して立体感を与える。笠形は低く、圏線を設けない。上下帯は素文で、乳区は左右および下方をさらに囲って、内郭を造り出し、これに頭部半球頸部円柱形の大形の乳を各区四段七列に配している。撞座は肉の薄い八葉連花で、四弁を広く、他の四弁をその間からのぞかせた簡潔明快な様式である。
- 高155.0 口径89.7 (㎝)
- 1口
- 奈良県五条市大字小島町503
- 重文指定年月日:18971228
国宝指定年月日:19520329
登録年月日:
- 栄山寺
- 国宝・重要文化財(美術品)
旧深草道澄寺の鐘で、神護寺鐘と双璧をなす銘を有するものとして古くより知られる。
銘文は選者を菅原道真、筆者を小野道風と伝える説があるが、延喜十七年に道真は既になく、書体は道風より古様であると言われる。文章、書風は堂々として風格があり、鐘自体の形姿、作技の優れた名鐘である。