教王護国寺蓮花門 一棟
教王護国寺は東寺ともいい、平安遷都にともない、平安京鎮護の伽藍として都城の南端に西寺と対してつくられた。のち弘仁年間(八一〇~八二三)弘法大師により真言宗の寺院となったが、奈良時代以降の整然とした伽藍配置を守っている。蓮花門は伽藍の西面に開く門で、その創立や沿革は明らかではないが、建久年間(一一九〇~九九)の建立と伝えられる。
三間一戸の八脚門で、木割は太く、形態はよく整っており、反り増しの強い垂木、巾が薄く先端で強い反りのある破風、妻の二重虹梁蟇股の形式など、きわめて古風である。これは建立にあたり創建時の様式が厳しく守られたためであろう。八脚門中の傑作ということができる。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)