太刀〈各銘相州住綱広作、綱家作、康国作/〉
たち〈かくめいそうしゅうのじゅうつなひろさく、つないえさく、やすくにさく/〉
工芸品 / 室町
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綱広、綱家、康国
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室町 / 1538
- <綱広>
鎬造、庵棟、身幅広く、先反り高く、大鋒長寸の太刀。鍛えは板目肌やや肌立ち、地沸つく。刃文は互の目に飛焼を交えた皆焼で沸叢につき、上半に金筋砂流かかる。帽子は乱れこみ先尖って帰り、掃きかける。彫物は表裏に棒樋に添樋を搔通す。茎は生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目勝手下がり、目釘穴一。
<綱家>
鎬造、庵棟、先返りごころに反りつき、中鋒の延びた長寸の太刀。鍛えは板目流れて地沸つく。刃文は互の目丁子に尖り刃交じり、飛焼盛んに入りて皆焼となり、沸つき、砂流、金筋っかる。帽子はのたれこんで尖って返り、掃きかける。彫物は丸留の棒樋に添樋を彫る。茎は生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目切、目釘穴一。
<康国>
鎬造、庵棟、腰反りつき、大鋒の長寸の太刀。鍛えは板目肌つみ、やや白化ごころの映り立つ。元裏に大肌がある。刃文は互の目に尖り刃、矢筈刃を主体に細かな飛焼を盛んに焼いて皆焼となり、総体に匂出来で、丁子足、葉が入る。帽子は表は直ぐに咲き尖って返り、裏は小丸。彫物は表裏に棒樋に添樋を搔通す。茎は生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目切、目釘穴一。
- 綱広 身長99.3 反5.1
綱家 身長89.3 反3.6
康国 身長102.5 反3.6 (㎝)
- 3口
- 重文指定年月日:19840606
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 鶴岡八幡宮
- 国宝・重要文化財(美術品)
北条氏綱が綱広、綱家、康国の三人に命じて打たせた太刀に拵を付けて天文七年(一五三八)鎌倉の鶴岡八幡宮に奉納したものである。
太刀は三口共に長寸で、鎬造、身幅広く、反りの高い姿をし、鍛えは板目肌、刄文は互の目に飛焼を盛んに交じえて皆焼【ひたつら】となって、室町時代の相州物の作風をよく示している。銘文は各々に「奉納八幡宮御宝殿北條左京大夫平氏綱、天文七〈戌/戊〉年八月二日所願成就皆令満足」、及び作者銘がある。
糸巻太刀拵は三口の太刀の拵で、鐔の形を異にするほかは同様に造られている。金具は赤銅地に唐草文を毛彫し、鐔は形を異にしているが葵形に属するものである。目貫は桐紋三双で赤銅の容彫色絵とする。柄は赤地銀襴で包み、茶・紺糸巻とする。鞘は潤【うるみ】朱塗、表裏に各々三羽の鳳凰と十個の桐紋を針書の技法を交じえた平蒔絵で配している。室町時代の太刀様式を知る上で重要な資料であり、また制作年代のわかる蒔絵資料としても意義がある。
三口まとまって当初の太刀拵の付いたまま伝えられ、しかも奉納者、奉納時期のわかる遺品として貴重である。