広福寺招請開山大智が伝領した伝衣付嘱状三通と、付法状一通である。第一通は道元所用の袈裟の付嘱を定めた(一)義介と(二)紹瑾の付嘱状で共に紹瑾の筆になる。(一)は法衣が曹洞の付法と共に伝来した事情を明らかにし、(二)は袈裟を大乗寺住持職及び聖教、道具類と共に素哲に付与する旨を定めたもので、(一)の余白を利用して書かれている。第二通は全文素哲の筆になり素哲が法衣を大智に付授した折の文書で、文中に大智の法系を證し、末に伝衣にちなんで一偈を付している。第三通は素哲が大智に与えた付嘱状である。第四通は義介が紹瑾に与えた付法状で、わが国における達磨宗の法嗣の次第を述べ、この法系を曹洞の嗣法と併せて紹瑾に付与する旨を定めたもので、末二行が義介の自筆である。いずれも鎌倉時代曹洞嗣法に関する根本文書として価値高く、義介、紹瑾、素哲の確実な筆跡を伝えて貴重である。