東大寺開山堂 一棟
開山堂は良弁僧正坐像(国宝)を安置する堂で、僧正堂とも呼ばれた。現在の堂は鎌倉時代に属するが、そのうち内陣の方一間が古く、純粋な大仏様からなり、しかもその盛期の様式をもっている。建立年代は重源(一一二一~一二〇六)の在世中正治二年(一二〇〇)と考えられ、南無阿弥陀仏作善集に記す「僧正堂」がこれにあたる。当時は方一間の小堂であったが、その後建長二年(一二五〇)に移築し、外陣を付加して現状のような方三間の堂となったと考えられる。大仏様の遺構のうちでは簡素なものではあるが、重源と直接関係をもち純粋な様式を伝える遺構として貴重なものである。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)