工芸品 / 唐
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唐
- 白銅鋳製。大形の円鑑で、鏡胎は総じて厚く、鏡面には緩い反りがある。鏡背の図様は、内区はその周囲に姿態様々な葡萄の果実と樹葉を交互に配し、蔓を旋転せしめて地文となす。中心に大きく海獣鈕を置き、これをめぐって八獣が一俯一仰する。各獣に嬉戯する小獣を纏わらせて姿態に動きを加える。外区には、周囲より葡萄の果実樹葉蔓を自在に旋転して地文となし、その上を一対の走獣、飛禽が交互に四組、左廻りに囲う。内外両区の間に一帯を設けているが、地文の葡萄は外区よりの延長で、巻鬚に胡蝶、蜻蛉、蜂、蟷螂などの昆虫や小禽を配している。縁際に雪花文帯をめぐらす。
- 径29.5 縁厚2.0 (㎝)
- 1面
- 重文指定年月日:19040218
国宝指定年月日:19530331
登録年月日:
- 香取神宮
- 国宝・重要文化財(美術品)
中国唐時代に盛行した海獣葡萄鏡の典型である。中国でも各地で出土しているが、日本にも伝わり多くの例が知られている。また、法隆寺、春日神社、正倉院、大山祇神社など古社寺に伝存する例もある。
本品は鏡背の文様が巧に構築され、各種の鳥獣が写実的かつ動勢に富み、葡萄唐草文ものびやかである。大形にして鋳上がりのよい海獣葡萄鏡である。