善水寺本堂 ぜんすいじほんどう

建造物 宗教建築 / 室町

  • 滋賀県
  • 室町前期 / 1333-1392
  • 桁行七間、梁間五間、一重、入母屋造、檜皮葺
  • 1棟
  • 滋賀県湖南市岩根
  • 重文指定年月日:18990405
    国宝指定年月日:19540320
  • 善水寺
  • 国宝

善水寺本堂 一棟

 善水寺は寺伝によれば、和銅年間(七〇八~七一五)の創立といわれ、今の本堂は延文五年(一三六〇)炎上後、貞治五年(一三六六)五月建立されたものという。様式手法をみてもこの時の建築と考えてよい。桁行七間、梁間五間のかなり大きな堂である。外観は多く蔀戸を用い、組物は支輪付きの出組で繰形付の実肘木をもち、中備は束とする。内部は密教本堂の方式にしたがって内外陣とし、菱格子の結界をもって区切る。周囲一間通りを化粧屋根裏とするので、外陣は後半だけ組入天井となるが、この外陣中央の柱列を省略するのに、普通は前後に大虹梁を架けて受けるのに対して、ここでは左右に梁をかける珍しい扱い方をしている。このため側廻り組物内側が遊ぶので、ここに木鼻をつけるが、これは室町時代特有の華麗なものである。内陣は組入天井で、同時代の厨子がある。滋賀県における一連の密教本堂のうちの優作として、この堂の価値は高い。

【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)

善水寺本堂

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