工芸品 / 奈良
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奈良 / 698
- 高さに対する口径の割合を少なくし、中帯と撞座の位置が頗る高く、乳は乳頭が大きくて四段七列に密接して置かれ、華麗な連続唐草文のある上下帯をもっって鐘身の上下を画し、下端には駒爪なく條線があるのみである。
竜頭は細長くて、宝珠は小さく、装飾文化した火焔が著しい。撞座以下をほとんど直線とした鐘身の形状や高い位置に中帯を回らしたり、乳の間の密接した大きな乳などにより、姿態の中心を上方にして懸垂の安定感をよく表している。撞身の内面縦に陽刻名がある。
- 総高151.0 竜頭高27.6 身高118.0 撞座中心高49.1 口径86.0 口厚5.3 (㎝)
- 1口
- 重文指定年月日:19020731
国宝指定年月日:19510609
登録年月日:
- 妙心寺
- 国宝・重要文化財(美術品)
わが国最古の紀年名を有することで著名な鐘であり、銘文中の戊戌年は文武天皇即位二年(698)に当たると考えられ、糟屋評は現福岡県にあった郡銘である。
高さに比べて口径が小さく、胴張りの少ない長身瀟洒な鐘である。撞座の蓮華文、上下帯の唐草文など肉取りよく、駒の爪は二条の紐を回らせたもので古式であり、端正な形姿に典麗な装飾を施した名鐘である。