平地に営まれた前方後円墳で、前方部はほぼ西に面し主軸の長さ約114メートルを有する。封土は二段に築成せられ北側のくびれ部には造り出しをそなえ、周囲に堀が存する。
昭和22年に調査され墳丘には二重に円筒埴輪列がめぐらされ、後円部においては上段の円筒埴輪列の外側に衣笠形埴輪がほぼ等間隔に配置されていることが認められ、又前方部の頂上とくびれ部とのほぼ中間にあたり東西に長く竪穴式石室が存し、内部から短甲24領をはじめとする甲冑及び刀・剣・鏃等の鉄製利器等が検出された。
この古墳は内部構造主体の一部が明かにされたことにおいて学術上重要な意義をもたらしたが、墳丘もまた良好な状態で保存されわが国の古墳文化を知る上に価値高いものがある。
S53-06-027黒姫山古墳.txt: 南河内の狭山池にはじまる広い平地に唯1基、大規模な前方後円墳黒姫山古墳がみられる。本古墳は全長114メートル、後円部径64メートル、前方部幅65メートル、後円部高11メートル、前方部高11.6メートルをはかる2段築成の西向きの美しい墳丘を見せている。墳丘の周囲には13〜18メートル幅の周濠をめぐらしており、深さ2メートルをはかる。墳丘上には埴輪列、葺石がみられ後円部には刳抜式石棺を据え、前方部には竪穴式石室を設けており、後者からは多量の甲冑等を検出し注目をうけた。
本古墳は、昭和32年10月24日史跡に指定されたが、その後周堤の存在することが明確となり、内・外両側に埴輪列のめぐることが知られるに至り、本墳の範囲が明確になるとともに、北東の周堤にとりつく形で方形墳ドン山古墳が存在し、その北、東側に周濠をもつこともたしかめられた。そのほか、本墳の北側、周堤に接して子持勾玉の発見地もみられる。そうした成果をふまえて今回、周堤部及びドン山古墳の範囲を追加しようとするものである。