円通寺人形芝居 えんつうじにんぎょうしばい

民俗 無形民俗文化財

  • 選定年月日:19851220
    保護団体名:円通寺人形芝居保存会
  • 記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 円通寺人形芝居は、明治年間まで一人遣いで演じられたと考えられ、また、伝承演目の中に祝福の門付芸としても演じられた「大黒舞」の演目を含むなど人形芝居の古様な姿を示し、また、江戸時代にこの地方で流行した歌謡に合わせて人形を操るなど地域的特色を示すものである。
 現在、この人形芝居に伝わる「頭【かしら】」には一人遣いをうかがわせるものがあり、かつてこの地方で行われた門付芸の人形芝居(一人遣いと考えられる。)は、「三吉デコ」と総称されたが、今日でも三人遣いながら「三吉デコ」と呼ばれる演目を伝えており、この演目は古様な一人遣いとの関連を示すと考えられる。
 また、「大黒舞」の演目は、正月や婚礼、新築祝い、大漁祝いなどの際に、それぞれの場所に出向き、御祝儀として行われたものと伝え、いわゆる祝福の門付芸の流れを汲んでいる。
 この人形芝居の「地【じ】」(伴奏)に使われる歌謡は、「クドキ節」、「ガンリキ節」、「ネンリキ節」、「心中節」、「円通寺節」など様々に呼ばれている。一説に、江戸時代に鳥取城を山城から平城にする際に歌われ始めたともいわれ、盆踊り唄などのいわゆる「クドキ」の曲調で、伴奏楽器が三味線のほか、太鼓や胡弓を使うなど特色がある。
 このように、円通寺人形芝居は、日本の人形芝居の歴史的な変遷を知るうえで重要なものであり、伝承が消え去らない現在において記録作成するものである。

円通寺人形芝居

ページトップへ