鳥羽法皇の発願により文治元年(一一八五)に後白河法皇が神護寺に奉納した一切経をかつて納めていた経櫃。同寺には同様の櫃が四十五合現存し、経巻、経帙とともに国の重要文化財に指定されている。被せ蓋造りで微かに胴を張った姿は平安時代後期の特色である。左右両側面の朱漆銘により、本作品が第二十一合めの櫃で、華厳経八十巻本のうち六十巻を収納していたことがわかる。
大智度論(神護寺経)
仏説大安般守意経(神護寺経)
大宝積経巻四十九