滴(1) てき

銅版画 / 弥生 / 日本 

一原有徳 (1910-)
いちはらありのり
1981
金属板、紙
59.0×43.6
神奈川県立近代美術館

 上のほうの岩の角にたまった水が、滴となってつぎつぎに落ちていく。そんな水滴のようにも見えます。けれど、作者はこう語ります。
 「あるイメージを表現するのではなくて、心象にある、まったく無形のテーマに対して、何とかそれを作ろうと、見つけることをいろいろやって、実験していくだけのことなんですね。*」
 一原有徳は、よくアルミニュウムを腐食させて、そこにインクを塗って版画を作ります。水が滴っているようなイメージは、金属を腐食させるときに半ば偶然にできたものです。偶然にできたその形に一原は自分の内心のありさまを乗せて、版画に仕上げていくのです。上の塊とそこから落ちる滴のような連なりは、白く透明さをもっていて、青く美しい色彩の水を連想させます。それを見つめる作者の心は、静かに澄んでいるのかも知れず、版画を見る人にも、滴のような動きにつれて、その静けさが伝わります。
*(『版 一原有徳のネガとポジ』 NDA画廊編 1986年)

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