八ツ沢発電所施設 大野調整池余水路
やつさわはつでんしょしせつ おおのちょうせいちよすいろ
概要
八ツ沢発電所施設は,桂川にほぼ平行して東西に延びる水路式発電所施設である。
東京電燈株式会社が第二水力電気事業の一環として建設したもので,明治43年に着工,大正3年の大野調整池の完成をもって全体が竣工した。
建造物は,取水口施設,第一号から第一八号の隧道,第一号開渠,第一号から第四号の水路橋,大野調整池施設,水槽余水路などで,約14kmの範囲に現存する。
取水口の沈砂池や隧道は,土砂流入防止等を意図して長大な規模で築かれる。第一号水路橋は大支間を実現した初期鉄筋コンクリート造橋梁であり,大野調整池堰堤は大正期を代表する大規模土堰堤の一つである。
八ツ沢発電所施設は,大規模調整池を有するわが国最初期の本格的水力発電所施設であるばかりでなく,類型の異なる複数の構造物に高度な建設技術が発揮されており,土木技術史上,高い価値がある。
わが国の重要文化財のなかで、最大規模となる。