豊稔池堰堤
ほうねんいけえんてい
概要
豊稔池堰堤は、県西部の柞田川上流に位置し、県の用排水改良事業の一環として大正15年3月起工、昭和4年11月竣工の溜池堰堤である。工事は、顧問である佐野藤次郎の指導のもと、農林技師の杉浦翠、県農林技師の木村真五郎などを中心に進められた。
堰堤は、川狭窄部の岩盤上にコンクリート造で築かれ、両端部を重力式、中央部をマルチプルアーチ式とし、下流側に石張の水叩を設けている。
豊稔池堰堤は、我が国最初期のコンクリート造溜池堰堤として、農業土木技術史上、高い価値がある。また、アーチ式堰堤とバットレス式堰堤の特長を兼ね備えた先駆的な構造形式が、昭和前期における堰堤建設の技術的達成度を良く示しており、重要である。