旧篠原家住宅 新蔵
きゅうしのはらけじゅうたく しんぐら
概要
篠原家は,宇都宮城下の東端,城下から奥州へと向かう街道の起点に立地し,江戸時代末期から醤油醸造業を興した商家である。明治期には,肥料業なども営み,県内有数の豪商となった。
主屋は西面して建ち,主屋の正面左右に大谷石積の塀をつけ,主屋の左脇には新蔵が並ぶ。主屋と新蔵は,部材に記された墨書より,ともに明治28年6月の上棟とわかる。主屋は,桁行八間,梁間六間,正面に下屋庇をつけ,外壁を黒漆喰塗とし,両側面の一階壁面には地元産の大谷石を縦横に張るなど防火的な造りとする。
関東地方で,有数の規模をもつ,明治中期の住宅兼用の土蔵造店舗で,重厚で,たちの高い外観と,堅牢な造作に特徴がある。栃木地方特有の大谷石張の町家建築であり,数少ない遺構として貴重である。なお,主屋と同時期に建てられた,大谷石張の新蔵,及び大谷石塀をあわせて保存する。