オーケストラ おーけすとら

油彩画 / 昭和以降 

三岸好太郎 (1903-1934)
みぎし こうたろう
昭和8年/1933
油彩・キャンバス  額装  (キャンバス裏面に作品《悪魔》)
縦89.3×横114.6cm
第3回独立美術協会展 東京府美術館 1933

オーケストラ
Orchestra
1933年
北海道立三岸好太郎美術館蔵[O-59(1)]

1933(昭和8)年、三岸好太郎はオーケストラの演奏風景を描いた一連の作品を残している。この作品は現存する2点の油彩画のうちの1点(もう1点は宮城県美術館蔵)。描かれたオーケストラは、近衛秀麿を常任指揮者とする新交響楽団(現在のNHK交響楽団)である。三岸はかつて交際した音楽家・吉田隆子の影響で新交響楽団の演奏会を聴きに行っていたともいう。音楽を絵画に表現することについては、1932年暮れの「巴里東京新興美術展」で知ったミュジカリスト(音楽派)の作品から想を得たものかもしれない。しかし、純粋な色彩と形象で音楽を絵画化する彼らと三岸の表現手法は異なるものがみられる。
この作品では、暗い闇からスポットに照らし出されたように大きな楕円が浮かび上がり、タクトを振り上げる指揮者の下、チェロ独奏者をはじめ、団員たちが一丸となって熱演を繰り広げている。目に見えない指揮の軌跡のようなものまで、素早い線描によって表現されているが、この線描は、厚塗りの白絵具層を金属棒などの尖端で搔き削って下塗りの黒地を出す手法によるものである。あたかもタクトを操るかのように、三岸の筆はいささかの停滞も示さず画面を縦横に動き回っているようにも感じられる。一見即興風だが、制作のための準備素描が多く残されており、指揮者の複数のポーズを描き込んだり、手の動きの軌跡を線で示すなど、演奏の動的な情景を表現するためのシミュレーションが行われている。また、指揮者を正面からとらえたものや、最後列のコントラバス奏者を後ろから描いたものもみられ、三岸が舞台裏にまで入ってデッサンしていたことがわかる。コントラバス奏者が支えに使用した三角の台(通称ヤマ台)や、簡略ながら描き込まれた天井は、日比谷公会堂の特徴を示すという。この《オーケストラ》制作にむけては、三岸が入念な準備を行っていたことがうかがわれる。
ここに描かれた演奏者の配置は、ヨーロピアン・スタイルと称されるもので、手前の左右にヴァイオリン、中ほどやや左にチェロ、その後ろに管楽器、左奥にコントラバスを配す。指揮者の左にはチェロの独奏者の姿がある。この作品の表現に直接結びつくものと断定はできないが、制作時期に近いと思われる1933年1月25日の日比谷公会堂での定期演奏会として、ハイドンのチェロ協奏曲の演奏の記録がある(指揮:近衛秀麿あるいはニコライ・シフェルブラット、チェロ独奏:斎藤秀雄)。
この作品の裏面には、前年の第2回独立展出品作である《悪魔》が描かれている。

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