大般若波羅蜜多写経
だいはんにゃはらみったしゃきょう
概要
大般若経は、唐の玄奘三蔵が漢訳した全600巻からなる経典集。正式名称は『大般若波羅蜜多経』。三隅八幡宮所蔵の大般若経は262巻が現存する。各巻の表紙には「大般若波羅蜜多経」と巻数が墨書される。表紙見返しには「捨入 長州三隅八幡宮」と「慈雲小比丘中正置之」等と記す墨書が多く見受けられ、この大般若経が中正なる僧によって、三隅八幡宮に施入されたものであることがわかる。現状褐色を呈する料紙に、境界、本文ともにすべて手書きで経文を墨書している。262巻中、一部は別系統のものが混入する。別系統のものは2種類あり、一つは「上野寺」「盈」等の墨書を持つ時代不詳のもの、もうひとつは「発行密寺住鴻隆謹写」等の墨書を持つ江戸時代(安政年間)のものである。